ホーム > 出版物のご案内 > 月刊誌『都市問題』バックナンバー検索
出版物のご案内
おすすめの本
ご注文について
月刊誌『都市問題』
バックナンバー
定期購読のお申し込み
「都市問題」公開講座ブックレット
都市調査報告
都市問題研究叢書
単発刊行物
後藤新平生誕150周年記念関連
創立記念出版物
図書・雑誌論文検索(OPAC)
デジタルアーカイブス
東日本大震災の情報
お買い物かごを見る
出版物のご案内

月刊誌『都市問題』バックナンバー検索

 

月刊誌『都市問題』
第 93 巻 第 5 号 / 2002年05月号
品切れ

特 集

特集 : 郊外化と都市社会

 

内 容

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 都市化の構造と「郊外化」現象
著者 有末 賢
アリスエ ケン
役職 慶應義塾大学法学部教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 郊外型コミュニティにおける市民文化の形成
著者 江上 渉
エガミ ワタル
役職 成蹊大学文学部教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 ポストサバーブと都市論の新たなアプローチ
著者 水上 徹男
ミズカミ テツオ
役職 立教大学社会学部助教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 「郊外的生活様式」の存立可能性―生活者ネットワーク運動を事例として
著者 渡辺 登
ワタナベ ノボル
役職 新潟大学人文学部教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 ニュータウンの住宅階層問題・再考―住宅配分システムと都市社会の構造
著者 竹中 英紀
タケナカ ヒデキ
役職 桃山学院大学社会学部助教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 東京圏における中心都市と郊外―ホワイトカラーの居住分化を中心に
著者 高木 恒一
タカギ コウイチ
役職 立教大学社会学部助教授
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 郊外家族と近代家族―妻の就業と職住近接
著者 松信 ひろみ
マツノブ ヒロミ
役職 長岡大学産業経営学部専任講師
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 近代の郊外借家経営からみた郊外都市の可能性
著者 江面 嗣人
エヅラ ツグト
役職 文化庁文化財部建造物課主任文化財調査官
特集名 郊外化と都市社会

2002.05  第 93 巻  第 5 号

論文 ニュージーランドの自治体合併−1989年の合併過程から
著者 和田 明子
ワダ アキコ
役職 東北公益文科大学専任講師

その他

図書紹介
時事問題
文献情報

特集 : 郊外化と都市社会

近年、都市社会学の専門家の間では、1960年代に盛んに取り上げられた郊外化の問題が再び注目を集めている。1960年代当初は、郊外における新しい生活様式に積極的評価が与えられ、郊外住民による市民社会の形成が期待された。つまり、都市問題を解決しうる一つの手段、あるいは理想郷としての郊外という、欧米の枠組みに則った論調が主流であったといえるだろう。
 しかし、日本の郊外は、スラム化する都心からの逃避や田園的生活様式の選好の結果、ミドルクラスによって形成されたのではなく、住宅価格の高騰によって都心から押し出された、あるいは、地方から直接郊外に流入した人口が、農村部を侵食しながら首都圏全域に拡散していったという側面が強く、特定の階層が集住しているというよりも、異なる階層が混住している。こういった日本における固有の状況をかんがみながら、郊外化の独自性をどう捉えるかということが、近年の議論における主な課題となっている。
 本特集号では、「郊外化と都市社会」と題して、近年の郊外化の動向を紹介するとともに、1960年代の議論の検証という視点を組み込み、郊外地域の将来像について展望していくことを主眼とした。したがって、構成も日本の都市社会学における郊外化の先端の議論が中心となっている。
 まず、総論で郊外化の現象が都市社会構造から総合的に論じられ、次に、郊外型コミュニティにおける市民社会論について、政策面に重点を置いて検証されている。3番目は、都市化の軸だけではもはや捉えきれない郊外化の現象についての、ポストサバーブ論の方向からの考察となっている。4番目は、主に郊外で展開されている生活クラブ生協、生活者ネットワーク運動に見出される意識や行動を観察し、「郊外的生活様式」の意味と可能性、課題について提示している。5番目の論文では、郊外における人工的なコミュニティづくりの過程で生じた象徴的な問題として、ニュータウンにおける住宅階層問題が取り上げられている。6番目の論文では、郊外の独自性について、中心都市との対比のなかで検討されており、さらに7番目は、都心と郊外という空間構造の比較の観点から、都市家族を分析している。そして、最後に建築の分野からの視点で、大正期の借家経営の、とくに地域内に異質な住民をうまく共生させていくメカニズムについて、記述されている。
 郊外化という現象をどう捉え、どう評価するかという課題には非常に難しい問題が介在する。たとえば、郊外と呼ぶにはあまりにも肥大化している大都市(とくに首都圏)の周辺部について、「周辺」を越えた自立した地域としての可能性を探るという一つの問題設定があるが、そこには、エッジシティの議論などに代表されるような「郊外の終焉」といった内容を含むことになる。本特集では、こうしたポストサバーブ論を視野に置いた上で、「郊外的生活様式」をキーワードに、郊外化の現在を主に社会学的アプローチで分析していくことを主眼とした。