
月刊誌『都市問題』バックナンバー検索
- 月刊誌『都市問題』
- 第 93 巻 第 9 号 / 2002年09月号
-
特 集
特集 : 福祉オンブズマン―都市における展開過程
内 容
-
論文 福祉オンブズマンの現状と課題 著者 高橋 五江 タカハシ イツエ 役職 淑徳大学社会学部教授 特集名 福祉オンブズマン―都市における展開過程 -
論文 福祉オンブズマンの役割と人材育成 著者 山口 泰弘 ヤマグチ ヤスヒロ 役職 文京学院大学人間学部教授 特集名 福祉オンブズマン―都市における展開過程 -
論文 地域ネットワーク型福祉オンブズマン 著者 高山 直樹 タカヤマ ナオキ 役職 東洋大学社会学部助教授・特定非営利活動法人湘南ふくしオンブズマン理事長 特集名 福祉オンブズマン―都市における展開過程 -
論文 諸外国における権利擁護と福祉オンブズマン 著者 高谷 よね子 タカヤ ヨネコ 役職 関西福祉大学社会福祉学部教授 特集名 福祉オンブズマン―都市における展開過程 -
論文 有権者の投票時間帯の変化―1998年の制度改正の与えた影響 著者 三船 毅 ミフネ ツヨシ 役職 愛知学泉大学コミュニティ政策学部講師 -
論文 グラウンド・ゼロから都市再生へ 著者 平山 洋介 ヒラヤマ ヨウスケ 役職 神戸大学発達科学部助教授 -
論文 自治体予算過程における公会計のあり方に関する考察(1) 著者 鈴木 伸幸 スズキ ノブユキ 役職 野村総合研究所上級コンサルタント
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
特集 : 福祉オンブズマン―都市における展開過程
- わが国では、1998(平成10)年6月の「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」において、社会福祉サービス受給者の権利擁護が政策の懸案事項となったことがきっかけとなり、その有力な手法として、福祉オンブズマンが政策課題として取り上げられ始めた。
2000(平成12)年1月には、国が介護保険制度にオンブズマンを制度として導入する計画があることを明らかにしたことから、福祉オンブズマンは国の制度化に向けて本格的に動きだすことになった。
福祉サービスの質的向上に寄与する福祉オンブズマン制度は、少子高齢化や介護保険制度の導入により、今後その重要性を高めていくと予想される。福祉オンブズマン制度は大別して「行政型福祉オンブズマン」「施設単独型オンブズマン」「地域ネットワーク型オンブズマン」「市民運動型福祉オンブズマン」の4つに分けられるとされているが、現在その大部分は都市部を中心に展開しており、一部の先進自治体における取組がその主流となっている。今後都市郊外や農村自治体へと整備を進めていくためには、福祉オンブズマン制度の目的と意義に対する正しい認識と、現在わが国で取り組まれている諸活動に対する、多角的視野による考察が必要であると考えられる。
本特集は、今後重要な制度としてわが国に定着していくであろう「福祉オンブズマン制度」に焦点を当て、その制度の機能について、都市部における取組を考察するものである。まず巻頭で、福祉オンブズマン制度創設の経緯や今後の課題について概観し、次に、福祉オンブズマンに求められる資質や果たすべき役割について、人的側面から検討する。さらに福祉オンブズマンの実践事例として、地域におけるネットワークが主体となる福祉オンブズマンについて考察する。最後に福祉オンブズマン制度の先進事例として、制度を独自の政治文化にあわせて発展させてきた、米国における権利擁護の取組について検討を加える。
わが国のオンブズマン制度が、福祉領域から発展する場合が多い理由は何か。いかなる問題の解決が可能であり、現状の課題はどのようなものか。本特集が、わが国におけるオンブズマン制度の発展、ひいては社会福祉サービスの質的向上に寄与することができれば幸いである。