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- 月刊誌『都市問題』
- 第 93 巻 第 11 号 / 2002年11月号
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特 集
特集 : 転換期を迎える大都市圏の政策
内 容
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論文 大都市圏政策のマクロ観察とミクロ診断―分権と自治の時代の都市づくり 著者 中邨 章 ナカムラ アキラ 役職 明治大学大学院長 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 首都圏計画の宿命と現実―都市膨張圧力との闘いの末に 著者 市川 宏雄 イチカワ ヒロオ 役職 明治大学政治経済学部教授 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 「首都圏メガロポリス構想」と「首都圏基本計画」 著者 渡部 達朗 ワタベ タツロウ 役職 東京都都市計画局都市づくり政策部副参事 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 工業等制限制度と業務核都市育成整備施策の評価 著者 平 修久 タイラ ノブヒサ 役職 聖学院大学政治経済学部教授 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 大都市圏における広域行政制度 ―大都市圏制の創設に向けて 著者 東郷 尚武 トウゴウ ヒサタケ 役職 東京市政調査会理事 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 ロンドンにおける広域自治体の機能―新ロンドン・プラン策定を例として 著者 馬場 健 ババ タケシ 役職 聖学院大学政治経済学部専任講師 特集名 転換期を迎える大都市圏の政策 -
論文 基地新設と自治体財政 著者 川瀬 光義 カワセ ミツヨシ 役職 静岡県立大学経営情報学部教授 -
論文 自治体予算過程における公会計のあり方に関する考察(2・完) 著者 鈴木 伸幸 スズキ ノブユキ 役職 野村総合研究所上級コンサルタント
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
特集 : 転換期を迎える大都市圏の政策
- 戦後、わが国の大都市圏の政策において、首都圏基本計画、近畿圏基本整備計画が果たしてきた役割は大きい。これらの計画は、首都圏、近畿圏における人口・産業の集中是正や圏内各地域の整備開発による大都市問題の解消等をめざして、1958年に第1次首都圏基本計画が、1965年に第1次近畿圏基本整備計画が相次いで決定された。その後、時代の要請に応じて、計画の内容や実施方策について数次にわたる改定を重ねつつ、工場等の立地制限や業務機能の分散、業務核都市の整備による集中の緩和、関西文化学術研究都市の建設による研究開発機能の強化など、一定の成果をあげてきた。
しかし現在、首都圏では、都心部の空洞化の進行、産業の構造転換に伴う大規模遊休地の発生等の問題が顕在化しつつある。業務核都市については、業務機能の東京都心部への回帰の動きもある中で、おのおのの都市の整備状況に格差が生じ始めている。
また、近畿圏においても、経済活力や相対的な地位の低下が続く中で、長引く景気の低迷や地方自治体の財政状況の悪化を理由に、計画に盛り込まれた実施方策の効果的な推進を図ることが難しい状況となっている。
これらの点をふまえて考えると、今後、わが国の大都市圏においても本格的な人口の減少、高齢化が到来し、成長の時代から成熟の時代へと変化する中で、大都市圏政策のあり方は現在大きな転換期を迎えていると言えよう。
本特集は、わが国を取り巻く社会経済環境の変化の中で、今後の大都市圏政策の方向性はいかにあるべきかについての問題提起と考察を行うものである。まず始めに総論として、現在の大都市圏政策の課題を整理し、今後の展開方向について問題提起を行う。次に、首都圏基本計画に焦点を絞り、今後の政策のあり方について検討を行う。続いて、これまでの大都市圏政策の中心的な制度である工業(場)等制限法や業務核都市の育成整備に対する評価について考察を加える。最後に、大都市圏政策を進めていく上での広域行政のあり方について、グレーター・ロンドン・オーソリティの事例も踏まえながら検討を深めていくこととした。