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- 月刊誌『都市問題』
- 第 94 巻 第 1 号 / 2003年01月号
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特 集
特集 : 地方交付税改革を考える
内 容
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論文 地方交付税の基本論点―「総額」の確保を中心に 著者 伊東 弘文 イトウ ヒロフミ 役職 九州大学大学院教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 日本型財政システムの形成と地方交付税改革論 著者 金澤 史男 カナザワ フミオ 役職 横浜国立大学経済学部教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 ドイツにおける財政調整制度論と地方交付税改革 著者 町田 俊彦 マチダ トシヒコ 役職 専修大学経済学部教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 財政調整の理論と地方交付税改革 著者 持田 信樹 モチダ ノブキ 役職 東京大学大学院経済研究科教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 地方税と政府間財源移転―補助金整理、税源移譲、そして地方交付税の改善 著者 池上 岳彦 イケガミ タケヒコ 役職 立教大学経済学部教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 市町村合併と地方交付税改革 著者 川瀬 憲子 カワセ ノリコ 役職 静岡大学人文学部助教授 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 東京都財政と地方交付税改革 著者 菅原 敏夫 スガワラ トシオ 役職 社団法人東京自治研究センター研究員 特集名 地方交付税改革を考える -
論文 人口減少・高齢化の下での地方財政 著者 星野 菜穂子 中里 幸聖 ホシノ ナホコ ナカザト コウセイ 役職 大和総研主任研究員 大和総研主任研究員、現・年金総合研究センター出向中
その他
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時事問題
文献情報
特集 : 地方交付税改革を考える
- 2001年6月に発表された地方分権推進委員会の最終報告は、これまでに実行に移された地方分権改革を「第一次」分権改革とし、今後のさらなる改革推進の必要性を強く打ち出したものだった。またこの「第一次」分権改革は、2000年4月に施行された地方分権一括法の目玉が機関委任事務の廃止であったことに象徴されるように、地方自治体の活動に対する国の関与を整理・縮小することを主たる内容としてきた。そして今日、改革の焦点が地方財源に関する諸問題にシフトしてきたことは、周知の通りである。
そこで一つの懸案となっているのが、地方交付税改革である。地方交付税については昨年度発足した小泉政権下のいわゆる「構造改革」の一環として原資総額の削減や算定方法の変更などが実行され、経済財政諮問会議や財政制度審議会等の場において、さらなる改革の方向性も次第に明らかとなりつつある。その方向性とはすなわち、地方交付税のいわゆる「財源保障機能」の廃止まで視野に入れた、大幅な縮小である。
地方交付税制度が今日、その本来担うべき機能を逸脱した側面をはらんでおり、ゆえに何らかの改革が強く望まれることについては、一定のコンセンサスが存在するといえよう。しかし現在、政治的舞台において改革の流れを支えている地方交付税批判は、同制度の現状を一面的・短絡的にとらえてそれを悪玉扱いし、地方交付税制度という現存の制度のみならず財政調整制度そのものの必要性さえ否定しようとしている。これまでも、地方交付税改革の方向性を巡っては、多くの論者によりさまざまな視点から問題提起がなされ、多様な改革提案が出されてきた。しかし今日の地方交付税改革に係る政治的現実は、それら諸議論の適切な整理や評価、あるいは収斂を待つことなく、前進しているとはいえまいか。
以上の問題意識に基づいて編まれたこの特集では、財政学を専門とする諸氏がそれぞれのアプローチで、地方交付税とその改革について重要な問題を提起している。いずれの論稿も独自の示唆に富んでいるが、さらに相互に比較してみると、視点の設定や論理展開とその帰結における共通と相異から、興味深い論点が喚起されるであろう。本特集が、地方分権の実質を担保するための地方交付税改革を構想する一助となれば幸いである。