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- 月刊誌『都市問題』
- 第 94 巻 第 8 号 / 2003年08月号
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特 集
特集 : 歴史からみた21世紀地方自治の課題
内 容
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論文 地方自治のこれまでの歩みと今日的課題 著者 佐藤 竺 サトウ アツシ 役職 成蹊大学名誉教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 地方自治論の50年−行政エリート調査を手掛かりにして 著者 村松 岐夫 ムラマツ ミチオ 役職 学習院大学法学部教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 戦後地方財政の軌跡と展望 著者 和田 八束 ワダ ヤツカ 役職 関東学院大学経済学部教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 地域開発と地方自治 著者 遠藤 宏一 エンドウ ヒロイチ 役職 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 市民運動の新しい展開−市民運動からNPO・市民活動へ 著者 高田 昭彦 タカタ アキヒコ 役職 成蹊大学文学部教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 日本型インナーシティ問題−地域経済の崩壊と分権化の課題 著者 金子 勝 カネコ マサル 役職 慶應義塾大学経済学部教授 特集名 歴史からみた21世紀地方自治の課題 -
論文 宮崎県綾町のまちづくりと地域再生の実験 著者 池田 清 イケダ キヨシ 役職 北九州市立大学法学部教授
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
特集 : 歴史からみた21世紀地方自治の課題
- 振り返れば、とくに20世紀が終わりに近づくころから、わが国を含めた世界の政治・経済・社会のあり方は転換期にあると、強く意識されるようになった。そして21世紀が2年を過ぎた現在も、国際政治経済からわが国の地方自治や地域における生活のあり方にいたるまで、社会全体がきわめて流動的な状態にあり、その方向性は未だ定かではない。
このような時代には必然的に、さまざまな改革論や新たな思想・理論が盛んに主張され、それらの影響を受けつつ、制度改革や政策転換が実行されようとする。これは今日のわが国における地方自治あるいは地方行財政の問題についても同様である。地方自治体や地域のあり方のあらゆる側面について、政策担当者や学界その他の立場から新たな視点や政策提言が打ち出される様は、まさに百家争鳴の様相を呈しているといえよう。
そこで今回の特集は、変革が急がれる今日の状況において、改めてわれわれが直面している現代的課題の意味を吟味し、時代の方向性を適切に見定めることを眼目に、地方自治のさまざまな側面についてその歴史を振り返ることをテーマとした。日本的・歴史的文脈を踏まえて今日の問題をとらえることで、われわれは何を確認することができるだろうか。
このような大きなテーマに対して紙幅は限られているが、行政学、財政学そして社会学や地域経済論といった多様な分野から、代表的な論者にご登場いただき、地方自治・地方行財政のさまざまな側面をとりあげて、自由に論じていただいた。「歴史からみる」といういわば縦軸のコンセプトに沿って、それぞれに分析対象も分析道具も異なる論考をこうして一つの特集として編むことで、ある意味で立体的な問題の姿が浮かんでくれば幸いである。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉にいくばくかの真理が含まれているとすれば、眼前にある表面的問題に拘泥し方向性を見失いがちなこの変動の時代にこそ、こうした作業が求められるのではないだろうか。