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- 月刊誌『都市問題』
- 第 94 巻 第 9 号 / 2003年09月号
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特 集
特集 : 都市と犯罪
内 容
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論文 都市の治安と犯罪地図 著者 原田 豊 ハラダ ユタカ 役職 科学警察研究所犯罪行動科学部付主任研究員兼犯罪予防研究室長 特集名 都市と犯罪 -
論文 犯罪を生まないまちづくり 著者 樋村 恭一 ヒムラ キョウイチ 役職 東京大学大学院工学系研究科研究員 特集名 都市と犯罪 -
論文 犯罪に強い都市をどう構築するか−安全・安心まちづくりの社会学 著者 小宮 信夫 コミヤ ノブオ 役職 立正大学文学部助教授 特集名 都市と犯罪 -
論文 消費者犯罪への対応 著者 村 千鶴子 ムラ チズコ 役職 弁護士 特集名 都市と犯罪 -
論文 都市社会と青少年犯罪−凶悪化は幻想か 著者 間庭 充幸 マニワ ミツユキ 役職 大谷大学文学部教授 特集名 都市と犯罪 -
論文 犯罪被害者支援における自治体の役割 著者 諸澤 英道 モロサワ ヒデミチ 役職 常磐大学人間科学部教授 特集名 都市と犯罪 -
論文 越境アジア系外国人の増加は、果たして都市型犯罪の増殖につながるのか−「日本犯罪社会学会大会基調報告<シカゴ学派社会学と21世紀という時代>(2002)」から 著者 奥田 道大 オクダ ミチヒロ 役職 立教大学名誉教授 -
論文 公立図書館の任務と振興を考える 著者 田村 靖広 タムラ ヤスヒロ 役職 東京市政調査会市政専門図書館司書主任
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
特集 : 都市と犯罪
- 日本の安全神話が崩れようとしている。刑法犯の認知件数は戦後最悪を更新中であり、検挙率も急激に低下している。また、数だけでなく内容にも凶悪化・集団化・国際化・低年齢化の傾向が見られる。こうしたことによって、とくに都市においては治安の悪化を身近に感じられるようになってしまった。
われわれは、自分たちの住むまちと犯罪との関わりを深く考えずに暮らしてきたといってよいだろう。しかし、安全な社会を取り戻すために、われわれ自身に新たな対応が迫られている。今後は、警察のみならず、自分たちが住んでいるまち全体で犯罪対策に取り組まなければならないのである。
そのためにはまず、都市と犯罪との関わりを病理学的に検討することが必要である。都市の生態のうち、どのようなところが犯罪を産み出しているのかを探ることである。そこから、犯罪を減らすためには都市の体質改善が求められることが分かるであろう。代表的なものとして二つの方法がある。ひとつは物理的な構造の検討であり、もうひとつは人間関係からのアプローチである。
なお、犯罪対策を考えるときには暴力事件に目を奪われがちであるが、詐欺や悪質商法なども重要である。こうした犯罪を防ぐにあたっては警察とともに、より身軽に対処できる相談窓口やNPOの役割が重要となってくるだろう。
犯罪増加の原因を、青少年と外国人に求める声も大きい。ところが、センセーショナルな議論は多いものの、冷静な分析は意外に少ない。彼らによる犯罪は本当に増加・凶悪化しているのかを含め、青少年・外国人犯罪の原因と結果、対応について今一度考えなくてはならない。
都市と犯罪との関わりはこれで終わりではない。犯罪が増えるにつれて被害者の救済が焦点となっているにもかかわらず、対策はようやく始まったばかりである。犯罪の被害者にどのような対応をすべきかを検討する必要がある。
以上のように本特集では、「都市の犯罪はどこで、どうして起きるのか」「犯罪の防止にはどのようなことをなすべきか」「犯罪が起きてしまった時、どうすればよいのか」といった視点を軸に、都市と犯罪との関係について考察する。