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- 月刊誌『都市問題』
- 第 94 巻 第 11 号 / 2003年11月号
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特 集
特集 : 地方選挙に見る住民意識の変化
内 容
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論文 地方政治の趨勢と統一地方選挙の課題 著者 河村 和徳 カワムラ カズノリ 役職 金沢大学法学部助教授 特集名 地方選挙に見る住民意識の変化 -
論文 第15回統一地方選挙における「脱政党」 著者 石上 泰州 イワガミ ヤスクニ 役職 平成国際大学法学部助教授 特集名 地方選挙に見る住民意識の変化 -
論文 メディア利用および対人ネットワークが政治知識に及ぼす影響 著者 安野 智子 ヤスノ サトコ 役職 中央大学文学部助教授 特集名 地方選挙に見る住民意識の変化 -
論文 インターネットの利用形態が政治行動に与える影響−携帯vsパソコン・メールvsブラウジング 著者 岡本 弘基 オカモト ヒロキ 役職 学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程 特集名 地方選挙に見る住民意識の変化 -
論文 米国における地方民主主義の現代的課題 著者 小野 恵子 オノ ケイコ 役職 ジョージタウン大学博士課程 特集名 地方選挙に見る住民意識の変化 -
論文 二元代表制の政治過程−政策選好・影響力・政策アウトプット 著者 名取 良太 ナトリ リョウタ 役職 関西大学総合情報学部助教授 -
論文 高齢者保健福祉費基準財政需要額の分析 著者 星野 菜穂子 ホシノ ナホコ 役職 大和総研主任研究員
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
特集 : 地方選挙に見る住民意識の変化
- 国政・地方選挙を問わず、選挙はわが国の民主主義の根底にあり続け、また今後もその重要性が衰えることはないと考えられるため、そこに見られてきた政党、候補者、有権者の投票行動や住民意識の変化は、わが国の経済・社会情勢や、それを支える人びとの意識と深く関連したものであると言える。
有権者の政党離れ、つまり無党派層の拡大は、近年都市部・農村部を問わず、全国に見られる顕著な動向である。これは既存の政党に対する不満の表れであり、また既存の価値観にとらわれない有権者の政治意識の顕在化でもある。それらは、政党の後援を受けない候補者の当選、あるいは現職に対して“変化”をもたらすことを期待する有権者による、非常に若年かつ革新的な市長の誕生などにつながっていく。本特集では、これら政党に依らない投票行動を生み出す住民意識の変化に焦点を当て、いくつかの切り口から、そのような住民意識がどのように形成され、どのようなルートを通じて拡大していったのかについて検討していく。
有権者の意識レベルでの変化が生み出す近年の投票行動は、国政・地方選挙を問わず見られる現象ではあるが、本特集ではとくに地方選挙に焦点を当てて、検討を進めていくこととする。切り口は以下の3つであるが、いずれの場合においても、理論的な考察を前提とした上で、具体的な選挙や調査結果のデータ解析を行い、時代趨勢や住民意識の変化を明らかにするという論理構成をとっている。第1に、わが国の統一地方選挙の歴史および時代変化がもたらした課題について考察する。第1論文において、戦後から現在にいたる動向を検討した上で、第2論文で、直近の統一地方選挙データを用いた分析を行う。第2に、近年有権者が選挙に関する情報を取得する手段が多様化している点に注目し、その情報取得方法の変化がもたらす、投票行動および住民意識に対する考察を行う。第3論文で、対人関係とマスメディアがそれぞれ提供する情報が、有権者に及ぼす影響の違いについて検討し、第4論文では、近年その重要性を増しているインターネットの影響力について、ユーザーの投票行動に関する分析を通じて検討する。第3に、有権者の投票行動および住民意識の背後に存在する政治文化に着目する。第5論文では、民主主義と地方分権が徹底している米国における地方選挙に対する分析を通して、わが国で現在進行している変化について比較検討を行う。
時代の変化に伴い、地方選挙のあり方が改めて問い直されている今日、本特集が、わが国の地方政治の意義を見直し、有権者の政治行動を理解する一助となれば幸いである。