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- 月刊誌『都市問題』
- 第 94 巻 第 12 号 / 2003年12月号
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特 集
特集 : 広域的環境政策と自治体連携
内 容
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論文 広域的環境政策と自治体連携―その可能性と課題をさぐる 著者 保母 武彦 ホボ タケヒコ 役職 島根大学副学長 特集名 広域的環境政策と自治体連携 -
論文 自治体連携によるディーゼル車規制 著者 永井 進 ナガイ ススム 役職 法政大学経済学部教授 特集名 広域的環境政策と自治体連携 -
論文 不法投棄の現状と自治体間の連携による解決の課題 著者 礒野 弥生 イソノ ヤヨイ 役職 東京経済大学現代法学部教授 特集名 広域的環境政策と自治体連携 -
論文 森林保全のための上下流協力と自治機構 著者 三井 昭二 ミツイ ショウジ 役職 三重大学生物資源学部教授 特集名 広域的環境政策と自治体連携 -
論文 米国地方債における情報開示(ディスクロージャー)制度 著者 稲生 信男 イノウ ノブオ 役職 東洋大学国際地域学部助教授 -
論文 コミュニティに見る地域福祉の展開−「第9回地域福祉実践研究セミナー」に参加して 著者 佐々木 寿美 ササキ トシミ 役職 東京市政調査会研究員
その他
- 図書紹介
時事問題
文献情報
2003年(第94巻)総目次
特集 : 広域的環境政策と自治体連携
- 環境保全、環境汚染防止や環境問題の改善には、自治体における個別の取組だけではなく、自治体レベルの取組を越えた、広域的な政策が求められるようになり、また、そうした動きも活発化してきている。地方自治制度が大きな転換期を迎えている現在、自然資源の管理にかかわる自治体の地域連合的な取組の可能性など、あたらしい制度構想を議論すべきとの声もあがっている。
このような新しい制度設計の構想、自治体の連携による特定目的の自治体創設等に対しては、その目的(ここでは環境管理)の解決手段としてだけではなく、中央政府への対抗軸として機能しうる可能性が高いとして期待されている。
本特集では、一般目的の自治体と特定目的の自治体を多層的に構想し、それを分権化の文脈のなかでどう位置づけるかといったテーマについて直接は扱わない。しかし、この点を特集テーマの背後の問題意識として持ちながら、制度論に偏りがちな自治体再編の議論とは異なる視角を提示していきたい。つまり、環境問題に関する個別の課題に対する有効な政策を打ち出すためには、どういう自治体のあり方、自治体間の連携と広域的環境政策が求められるか、という文脈で、それぞれの課題別に考察していく。そして、有効な環境政策を打ち出し、実行していくために、新しい自治体の枠組みや自治体連携が必要であるという場合には、それはどのようなイメージのものになるか、どのような可能性があるか、ということについても検討を試みる。
課題は新しく、先行している事例もまだ少ないが、本号においては、特定目的の自治体が有効であるとされる河川水系管理や産業廃棄物行政等についての事例を中心に特集を組んだ。
なお、ここで扱う連携のレベルは、都道府県レベル市町村レベルに限らない。そして、市町村レベルでの取組が困難なので県行政に委ねる、都道府県レベルでの取組が困難なので国に委ねるというベクトルとは異なり、あくまで自治体主体の取組の延長線上として広域的環境政策を捉えていきたい。
本特集号では、まず、自然環境、都市環境を保存する場合の制度的枠組みをどうするべきなのか、自治と分権、市町村合併の意味を問いつつ、広域的な環境政策との関係で望ましい地方自治組織のあり方について考察する。その上で、個別課題として、まず1都3県で実施が開始されたディーゼル排ガス規制の取組について、つぎに産業廃棄物の不法投棄問題における都道府県の連携の現状と課題について、最後に森林を含む流域の管理について検討していく。個別の課題をめぐって、自治体どうしがどのように連携を行い課題解決に向かっていけばよいのか、あるいは自治体だけではなく、企業や住民団体等も含めてどのような連携のあり方があるのか、といったことを考える一助になれば幸いである。